2024年4月より時間外労働の規制が強化された建設業界。DXをともなう業務の効率化が急務とされていますが、多くの会社でうまく対応できていないのが現状です。

群馬県の総合建設業・佐田建設株式会社様もこの「2024年問題」に直面し、今回ネクストフィールドにご相談いただきました。そこで、コンサルティングから業務効率化のためのツール導入までのトータル支援をご採用。一気通貫で行うことで、効率化だけでない思わぬいい影響が出たといいます。その内容について、お話を伺いました。

2024年問題に直面した会社の「本当の課題」

働き方自体を根本的に変えなければならないけれど、意識改革だけではなかなか難しい
佐田建設株式会社の専務取締役・星野克行氏はそう話します。

 

「このままのやり方でいい」と思うシニア社員も多い

そもそも今回の2024年問題の根本にあるのが、建設業界全体の人手不足です。いま30代40代の働き手が少なく、50代60代の方が大多数を占めている。弊社では20代の若手は近年少しずつ入ってきているものの、中間層の空洞化が問題となっています。

また、若手社員は働き方に対する意識も高いし、労働時間短縮のためのDXにもすんなり順応している。一方で、これまで属人的だった50代以上の社員は、『このままのやり方でいい』と思っている人も少なくない。そのギャップをどう埋めるかが一番の課題でした」(星野氏)

左:専務取締役・星野克行 氏 / 右:システム部・松本裕也 氏

何を導入すればいいのか、どのように浸透させていくのかを相談

同社に所属する390名近くの社員のうち、現業部門は280名ほど。まずは人数の多い現業部門の業務から効率化していくことを目指しました。

業務を効率化させるためのさまざまなツールはあるものの、どれを導入すればいいのか、そしてそれをどのように社員に浸透させていくのかをクリアしなくてはなりません。同社もその壁に突き当たり、今回、ご相談いただきました。

 

コンサルティングを経て「指針」ができた

まず行ったことは、コンサルティングを受けたうえで、DXを進めるための「指針」を策定することでした。

最初にコンサルティングをしていただき、そのうえでDXへと進めたのがよかった」と話すのは、今回、現場DXの旗振り役となった同社システム部の松本裕也氏です。

「業務を効率化させるうえで一番大変だったのは、ここの現場ではやっているけれど別の場所ではやっていないなど、業務の内容について社内で共有ができていなかったことでした。社内で展開するためにはツールをパッケージ化し、一つの仕組み・決まりごととしていく必要がありました。

ただツールを入れるだけであれば、自力でリサーチして導入することもできなくはありません。ただ、社内全体で仕組み化させるためには、総合的かつ客観的な視点が必要不可欠です。

DXを進める際、どこの会社もシステム部が主体となることが多いと思うのですが、ITに精通したシステム部からの目線にどうしてもなってしまいがちです。全社的に浸透させるには、実際に使用する現場からの視点など客観的視点が必須。だから今回、コンサルティングで客観的に見ていただき、とても助かりました」(松本氏)

 

全年代の社員へのヒアリングと、同業他社への見学会から客観的視点を把握

客観的データを集めるため、ネクストフィールドのサポートのもとで社員へのヒヤリングを行いました。1年目の新入社員から所長クラスの社員まで、全年代の意見を吸い上げてデータ化。社内の状況を客観的な数値として把握することによって、「DXを進めるうえでの指針になった」と松本氏は話します。

その際、同業他社への見学会も行いました。

「コンサルしていただいた中でも特に効果があったと感じるのが、他社の現場を見学させてもらったことです。ネクストフィールドさんとお付き合いのあるゼネコンをご紹介いただきました。これまでは他社がどうしているかを知る機会はなかったので、間に入っていただいて非常にありがたかったですね」(星野氏)

 

社内研修を行い、DXへの理解を深めた

そうして作り上げていった「指針」をもとに、次に行ったのが社内研修でした。研修ではネクストフィールドの代表取締役社長・大堀裕康が講師を担当。参加したのは、今回、DXを進める現場部門の全社員です。DXに対する理解を深め、実際に現場ではどのようなことを求めているのか、意見を聞いていきました。

「それぞれ社員ごとに『こういうことをやれたらいいな』という、漠然としたイメージはあったと思うのですが、それをどう落とし込んでいいのかはわからなかった。それが研修によって、こう進めていくものなんだというイメージがより明確になりました。

その過程で、実際にどういうツールがあって、どれが弊社に適しているのかも大堀さんに教えていただきました。自分たちのアイデアが具体化していくことが社員にも刺激になって、非常に効果があったと思います」(松本氏)

役員向けDX講座の様子

社員研修で得たアイデアをもとに導入ツールを決定

そこで出てきたアイデアをもとに導入ツールを決定しました。導入されたアプリやツールを一元化し、ダッシュボードで社内共有するための「e-Stand」を採用しています。

また、現場の状況をリアルタイムに共有するために「e-Senseカメラ」を導入。これで現場に行かずとも、現場の様子がスマートフォンやパソコンで見られるようになりました。さらには、CCUS対応のための顔認証システムや現場に設置するサイネージなどのツールも新たに使用を開始しています。

ご支援概要図

 

「Web会議も、コロナ禍を経てようやく行うようになった」(星野氏)という同社でしたが、いちばん革命的だったツールを次のように挙げました。

「やはりe-Standは発展性のあるツールだと感じましたね。情報は一つにまとめるだけではなくて、それをいかに共有していくかが大事だと思っています。たとえば我々ですと、インターネット上で安全書類を作成・提出できるグリーンサイトや建設キャリアアップシステムなども既に使ってはいたんですけれど、それとどういう連携がしていけるのかなど可能性が広がりましたね」(星野氏)

情報を共有することの大切さについては、現場からも声が上がっていたと松本氏が話します。

「たとえば残業が多い現場があったとして、なぜそこが業務過多になっているのか明確にして解決策を探っていく必要があります。その情報が共有できれば、他の現場でも同じことが起こった場合に対策できるかもしれない。良い部分も悪い部分も共有して、社内全体で意識ややり方の統一化ができれば、業務の効率がさらに向上できるのではと思いますね」(松本氏)

 

「若手が活躍する会社」へと変化

意識改革やツールの導入は社員のモチベーション向上やリクルートにも繋がる

さらに、今回の意識改革やツールの導入は、ただ業務を効率化させただけではなく、社員のモチベーション向上やリクルートにも繋がっていると星野氏は強調します。

「今回、ネクストフィールドさんのご支援でDXを推進して、若手社員が生き生きとしてきましたデジタルネイティブである彼らは順応が早いし、そうしたツールを使って仕事をしたいという気持ちも強い。新卒採用の面接の場でも、弊社がこうした取り組みをしていると話すと学生の反応が違います。

若手が主体的にできることが大切で、DX推進を進めなくてはいけない今、彼らの能力を発揮できる絶好のチャンスだと思っています。コスト面など問題はあるとは思うのですが、トライアンドエラーでまずはやってみることが必要です」(星野氏)

若手の意識改革によって、会社が良い方向へ変わっていく

今後10年で、おそらく会社の顔はガラッと変わると星野氏は予想します。確かに2024年問題がDXのきっかけにはなっていますが、「実は裏テーマとして、社員の意識改革や会社自体の形を変えていくというのがある」のです。

「少し乱暴な言い方をすれば、残業時間を減らすのは時間をどうするのかという話ですから、そこは人を増やすとかコストをかけるしかないと思ってるんですよ。それにプラスして、今までやってきたこととは違う発想だとか意識改革が必要で、それらを合わせて会社の新しい方向性が見えてくると思っています。

だからこそ今回、コンサルからシステム導入まで、一気通貫でのトータル支援をネクストフィールドさんにお願いしました。自社の工夫と知恵だけではとても追い付かないので、そこは会社として積極的に投資していく覚悟が必要だと考えています

でも、それで今後はきっと良い方向へと変わっていく。私はそれが楽しみですね」(星野氏)